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FF12の矛盾や苦悩に満ち満ちたヒュムの子らしいアーシェやバルフレアが好きです。
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寒いのにも関わらず、お出かけをしてきました。

で、訪問したのは、冬の銀閣寺・・・。
文字面の響きは、ロマンチックでいい感じですが、実際のところは、雨も降ってたし、厳寒です。
ゆっくり見るような心と身体の余裕がありません!!
(何しに行っているんだか・・・。)

で、こういうところって必ずついているお土産屋さん。
寒いし、温まりたいということで、入ってみました。

***

で、皆さん、京都というのは、ユニークな土産物が溢れかえっている街ですよね?
木刀とか、駄洒落Tシャツとか、「誠」と書かれたハッピとか・・・。
そんな中、銀閣寺限定Tシャツが置いてありました。

なぜか、Tシャツに、漢字で「主人公」と書いてあります。
-なんじゃこりゃあ?-
と、思わず広げてしみじみ見てしまいました。

それは、毛筆による文字で(あ、もちろんTシャツにはそれをプリントしてるのですが)、どうやら高名な書家の方が書かれたというのがPRポイントのようです。
でもねえ、私の中では、このTシャツを着れるのは、<あの人>しかいません!!
(いや、実在しないから・・・。)

もし、着てたら、どうなんだろう・・・。
そんなことをネタに一本・・・。


▼▼▼


SS 『百年の恋②』

***

~side 姫~

仕事も終わり、宵の頃を迎え、アーシェが自室に戻ると、すでに彼が来ているようであった。

(また、お風呂でも入っているのかしら?)

部屋の奥にあるバスルームの方をみると、案の定、男物の衣服が脱ぎ散らかしてある。

(まったく、案外、だらしないところあるのよね・・・。)

やれやれ、と言いながら、ローブとタオルを持ち、バスルームにむかって通路を進む。

「~~~♪」

また、何やら、歌を歌っているらしい。
この間まで、「どうせ、俺は歌が下手だから」とか拗ねていたけど、最近は、すっかり開き直って、平気で声を出している。
でも、それはそれでいいことだ。

お互い、いつまでも、良いところだけみせればいいというものではない。
多少はだらしのないところや、格好悪いところもあって、そこも含めて、互いを大事にしていきたいと思っている。
そういう意味では、多少、音が外れた彼の歌も、可愛い個性にすぎない。

(それにしても、最近、ちょっと甘えすぎなんじゃない?)

しょうがない人ねえ、とぼやきながら、脱ぎ捨てられた服を手に取る。

革のベストや、白のシャツをとりあげる。
下着代わりなのか、白いTシャツが目に入った。

(あら、初めて見る服ね?)

手にとって広げてみる。


(え?何コレ?)


白いTシャツには、ちょうど横腹にあたる部分に、でかでかと
‘主人公’
の文字が書かれていた。


(何?この恥ずかしいシャツ?)


日頃、
「俺は、気に入った服しか身につけないから」
とか言って、センスがいいのを自慢気に言ってるくせに・・・!
ちょっと、何、この服・・・。


随分笑わせてくれるじゃない?


堪えられなくなり、しゃがみこんで、シャツに顔を埋めて忍び笑いをしてしまった。

音がしないように、そっとバスルームのドアをあけ、タオルとローブを置いておいた。


+++


「おい!俺の服、どこに置いた!?」

バルフレアは、ローブをはおり、髪もろくに拭かないまま、リビングに勢いよく、入ってきた。

アーシェは、コーヒーを飲んだまま、彼にちらりと目をやり、
「大丈夫よ。洗濯するよう、頼んでおいたから。」
と、まるで何事もなかったような顔をして答えた。

「全部・・・、か?」
「ええ。シャツ類は全部ね。」

彼は、立ったまま、しばらく黙ると、ゆっくり口を開いた。

「お前、服は広げたのか?」

顔面蒼白の彼の姿を見ると、少し意地悪をしたくなった。

「ええ、広げてみたわよ。随分、あなたの服の趣味って幅広なのねえ。」
「あ、あれは貰い物で・・・。」
「でも、自分のこと<主人公>なんて言ってる人もそうそういないけど、まさか、シャツにまで書いてあるなんて・・・。普通、ありえないわよねぇ~。」
アーシェは、口の端で笑って言った。

***

~side 賊~

それは、今日の午後のことだった。
砂海亭で飲んでいると、ヴァンとパンネロがやってきて、紙袋を渡したのだ。

「バルフレア!開けてみてくれよ!」
「おい、何だコレ?」
「いいから、早く~!」
二人にせかされ、袋の中を見ると、白い布の固まりが入っている。
ガサガサと取り出し、広げる。

思わず、血の気が引いた。

(何だコレ?)

白いTシャツには、ちょうど横腹にあたる部分に、でかでかと
‘主人公’
の文字が書かれていた。

広げたまま、二人を見ると、目を輝かせている・・・。
すごく嫌な予感がする。

「この間、見つけたんだ!」
「すごいでしょ!<主人公>って書いてあるんだよ!」

まさかとは思うんだが・・・。

「バルフレアにいいと思って買ってきたんだー。」
「着てくれるよね~!」

予感的中・・・。
首をうなだれる。

「悪いが、俺はこんなもの着な・・・。」

突き返そうとすると、たちまち、二人は目を潤ませた。

「せっっっかく、買ってきたのに~。」
「そうだよね~、コレ見つけた瞬間に、『絶対着てもらおうね!』って二人で決めたのに~!」

まじかよ・・・。
っていうか、どんなセンスしてんだ、こいつら・・・。

「いや、さすがの俺も、勘弁してほしいものはある。」

「えええ~!!」

ああ、もう、こいつらにはホント敵わない。

「わかった、もらう、もらう!それでいいだろう!?」

「今、着て!」

何、言ってるんだ?こいつら??

「な、無理に決まってるだろう!!」

「いーじゃーん。ここ2階だし。他に誰も見てないよ!」
「今、見たい。着てるところ、今、見たいのー!」

これだから、ガキ共は!

「悪いが無理!」

「アタシが今月ミゲロさんのお店で働いて出た賃金全部使ったのに~!」

いったい、幾らしたんだ、コレ?
てか、そんなに高いものには見えないが・・・。
騙されてるんじゃないか?

「着てやれよ!バルフレア!パンネロがせっかく選んだんだぜ?」

買う前にとめろよ?
あー、もう、マジで勘弁してほしい・・・。

「わかった。着る!着ればいいんだろう?」

「やった~!」

結局、シャツを脱ぎ、この信じられないようなデザインのシャツを着て、
「わー、主人公が主人公シャツ着てる~!」
なんて辱めを受けて、脱ぐことを許されず、仕方がないからその上に自分のシャツを着て、ベストを羽織って誤魔化してきたのである・・・。

***

~side 姫&賊~

「・・・、というわけで、別に俺が選んだわけじゃない。」

けらけらと笑っているアーシェを前に、バルフレアはばつが悪そうに立ったまま説明をした。
笑いすぎて、涙を浮かべる彼女を見ていると、何だか言い訳をしているのがばからしくなり、バルフレアもソファにどかりと腰を落ち着けた。

「ああ、もういいよ。どうせ、俺は‘格好つけ’だよ。」

やや投げやりに話す彼の横に、アーシェは座り直した。

「そうね、あなた格好つけたがりだものね。」
微笑みながら、彼を見る。
彼は、ちらと、目を合わせたが、すぐにそっぽを向いた。
「でも、ヴァン達の無邪気なお願い事にもつきあってあげちゃうのよね?」
一瞬、彼女に目線を戻した彼の頬を、彼女は両手でそっと挟む。

「そういう優しいところが好きよ。」

アーシェは目を瞑ると、彼の鼻先に自分の鼻をあてた。

もう一度、彼の顔を見ると、少し照れくさそうな表情をしている。
最近、ようやく見せてくれるようになった彼の素顔に、アーシェは満足気に微笑んだ。

「あんまりからかうなよ。」

優しい目をした彼は、その目を閉じると、そっと顔を彼女に近づけた。

(本当に、可愛い人ね・・・。)

彼女は、笑いながら、彼の唇を受け止めた。


=END=

百年の恋①に興味のある方は、2007/11/02のブログSSをご覧下さい・・・。
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