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続いてますよ。
***
職場SS「あと10cm・・・。-その3-」
***
午後9時半に庭園を出る。
私が泊まっているホテルがある場所は、彼の通勤経路の途中の駅前。
帰りが楽だろうからっていう理由で、途中下車をしてもらう。
-午後10時-
「そのへんに入ろうか?」
ちょうど、目の前にあったダーツバーに向かう。
私は一人でこういう場所には足を踏み入れないので、ちょっとドキドキしながら彼の後ろをついていく。
「何にする?」
コートを脱いでいると、彼が声をかける。
「うーん、じゃあハイネケンビールで。」
「ん。」
彼は財布を持って、カウンターに向かった。
私は、少し高めのスツールに腰を下ろし、中を見渡す。
さほどうるさくもないし、暗さも程良い。
壁にかかったピンナップ写真は50年代のアメリカをテーマにしているらしく、妙に色っぽい男女の絡みもちらほら見える。
肘をついて、ぼんやりしていると、いつの間にか彼が戻ってきた。
「はい、お疲れ。」
「ありがとう。」
二人で再び乾杯し、グラスに口をつける。
「何、こういうところ、結構来るの?」
「いや、初めて来た。」
「慣れてるみたいよ。」
「そう?適当にしてるだけだけど。」
「ふうん。」
そんな言葉を皮切りに、やれ仕事はどうだ、最近の調子はどうだとか、そんな話を笑いながら続ける。
どのくらい話をしていたのだろうか・・・。
ふと、会話が途切れ、彼が煙草に火を点ける。
ゆっくり吸って、ふーっと大きく吐き出す。
メガネの奥の目が、じっとこっちを見ている。
「何で、私が誘ったのかとか思ってる?」
「んー・・・、まあね。でも、電話もらったときに、何かいつもと違うなとは思ってた。」
「そう?」
「あなた、誘うときには躊躇ないでしょ?『ナニナニ食べたい!』とか言ってきてさ。それに、誰誘うときも一緒じゃん。でも、今回は、何か言いたいことあるんだろうなーって感じはした。」
「そっかー。」
あー、何て言おうかなあー・・・。
「私、どういうわけか、あなたといると話をしやすいんだよね。何でだと思う?」
あー、ばかばか。そんな回りくどいこと言いにきたんじゃないって!
彼は、うーんと腕を組んで考えている。
「そうだなあ、俺があなたに好意を持っているからじゃないの?」
えっ!
「ホラ、以前舞台を一緒に見に行ったじゃない?あのときは、正直、ちょっといいなと思ってたんだよね。」
え?何か、<過去形>?
「でもさ、あなたあの後すっかり酔っぱらって、元彼の話2時間くらいしてたんだよね。覚えてない?」
覚えてない・・・。
てか、穴があったら入りたい。
何やってんのよ、<あの時の私>!!
「まあ、俺も悔しいから、元彼女の話とか色々してたけどさあ、結局、それっきりになったしねー。」
そう。
それっきりだよ。
「お互い、それから他の人とつきあったりとか色々あったじゃん?そういうこともあるから、今の話やすさがあるんじゃないかな?」
そうだよね・・・。
あれは過去の話だよね・・・。
それから、同期連中の誰が話しやすいかとか、再びそういう話につながって、時は刻々と過ぎていった。
***
-午前1時-
「うそ!いつの間に、こんな時間?」
だらだらビールをおかわりしながら話し込んでいたら、一杯のつもりがとんでもない時間になっている。
「いや、俺、気づいてた・・・。」
「ごめん、どうしよう?」
「いいよ、ネットカフェに行ってもいいし、適当にホテルに泊まっても構わないし。」
「あー、でもマジ悪いな~、ホントごめん!マジごめん!」
「いいってば、気にするなよ。」
私は、なぜ、あのときこんなことを言ったのだろう?
欲がなかったと言えば嘘になるが、いや、本当に、申し訳ない、という気持ちでいっぱいだったのだ。
「ねえ。」
「なに?」
「アタシの部屋にこない?」
「・・・・。」
-続く-
大詰め編に続く・・・
職場SS「あと10cm・・・。-その3-」
***
午後9時半に庭園を出る。
私が泊まっているホテルがある場所は、彼の通勤経路の途中の駅前。
帰りが楽だろうからっていう理由で、途中下車をしてもらう。
-午後10時-
「そのへんに入ろうか?」
ちょうど、目の前にあったダーツバーに向かう。
私は一人でこういう場所には足を踏み入れないので、ちょっとドキドキしながら彼の後ろをついていく。
「何にする?」
コートを脱いでいると、彼が声をかける。
「うーん、じゃあハイネケンビールで。」
「ん。」
彼は財布を持って、カウンターに向かった。
私は、少し高めのスツールに腰を下ろし、中を見渡す。
さほどうるさくもないし、暗さも程良い。
壁にかかったピンナップ写真は50年代のアメリカをテーマにしているらしく、妙に色っぽい男女の絡みもちらほら見える。
肘をついて、ぼんやりしていると、いつの間にか彼が戻ってきた。
「はい、お疲れ。」
「ありがとう。」
二人で再び乾杯し、グラスに口をつける。
「何、こういうところ、結構来るの?」
「いや、初めて来た。」
「慣れてるみたいよ。」
「そう?適当にしてるだけだけど。」
「ふうん。」
そんな言葉を皮切りに、やれ仕事はどうだ、最近の調子はどうだとか、そんな話を笑いながら続ける。
どのくらい話をしていたのだろうか・・・。
ふと、会話が途切れ、彼が煙草に火を点ける。
ゆっくり吸って、ふーっと大きく吐き出す。
メガネの奥の目が、じっとこっちを見ている。
「何で、私が誘ったのかとか思ってる?」
「んー・・・、まあね。でも、電話もらったときに、何かいつもと違うなとは思ってた。」
「そう?」
「あなた、誘うときには躊躇ないでしょ?『ナニナニ食べたい!』とか言ってきてさ。それに、誰誘うときも一緒じゃん。でも、今回は、何か言いたいことあるんだろうなーって感じはした。」
「そっかー。」
あー、何て言おうかなあー・・・。
「私、どういうわけか、あなたといると話をしやすいんだよね。何でだと思う?」
あー、ばかばか。そんな回りくどいこと言いにきたんじゃないって!
彼は、うーんと腕を組んで考えている。
「そうだなあ、俺があなたに好意を持っているからじゃないの?」
えっ!
「ホラ、以前舞台を一緒に見に行ったじゃない?あのときは、正直、ちょっといいなと思ってたんだよね。」
え?何か、<過去形>?
「でもさ、あなたあの後すっかり酔っぱらって、元彼の話2時間くらいしてたんだよね。覚えてない?」
覚えてない・・・。
てか、穴があったら入りたい。
何やってんのよ、<あの時の私>!!
「まあ、俺も悔しいから、元彼女の話とか色々してたけどさあ、結局、それっきりになったしねー。」
そう。
それっきりだよ。
「お互い、それから他の人とつきあったりとか色々あったじゃん?そういうこともあるから、今の話やすさがあるんじゃないかな?」
そうだよね・・・。
あれは過去の話だよね・・・。
それから、同期連中の誰が話しやすいかとか、再びそういう話につながって、時は刻々と過ぎていった。
***
-午前1時-
「うそ!いつの間に、こんな時間?」
だらだらビールをおかわりしながら話し込んでいたら、一杯のつもりがとんでもない時間になっている。
「いや、俺、気づいてた・・・。」
「ごめん、どうしよう?」
「いいよ、ネットカフェに行ってもいいし、適当にホテルに泊まっても構わないし。」
「あー、でもマジ悪いな~、ホントごめん!マジごめん!」
「いいってば、気にするなよ。」
私は、なぜ、あのときこんなことを言ったのだろう?
欲がなかったと言えば嘘になるが、いや、本当に、申し訳ない、という気持ちでいっぱいだったのだ。
「ねえ。」
「なに?」
「アタシの部屋にこない?」
「・・・・。」
-続く-
大詰め編に続く・・・
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