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FF12の矛盾や苦悩に満ち満ちたヒュムの子らしいアーシェやバルフレアが好きです。
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勝手に連載している、職場SSですよ。
気が向いたら読んでいってくださいませ・・・。

***

職場SS「あと10cm・・・。-その2-」

***

土曜日。

疲れがどっと出て、目覚めた時には、もう昼近く。
随分寝たはずだが、どうにも頭がはたらかない。

どうしよう・・・。

出かける場所もそうだけど、会ってから、何をどう話していったらいいのかな・・・。
もし、気まずくなったらどうしよう。
これからも同じ会社に勤めるのに。
でも、そうやって遠慮してきて今日にいたるわけだし・・・。

「あー!もうめんどくさいっ!」

再び布団をかぶってベッドに潜り込んで悩み抜く。
でも、悩んでも結局答えはでない・・・。
ガイドブックを広げ、食事をする場所を考えて、ふと時計を見れば、午後三時。
シャワーを浴びて、だらだら化粧。
ぼんやりしてるから、手も遅い。
結局ホテルを出たのは、午後四時になっていた。

***

●●駅前に着いたのは、午後五時。
駅前には、デパートやら地下街もある。レストラン街をぶらぶらしながら、どこに行こうか物色する。
いや、実際のところ、どこでもいいんだ。
世の中はクリスマスセールなんかもやっていて、デパート前は、すっかりイルミネーションに彩られており、浮かれ気分に拍車がかかる。


午後六時十五分。
マナーモードの携帯が震え出す。
発信相手は、彼だった。
一呼吸おいて、通話ボタンを押す。

「もしもし?」
「あっ?河合さん?俺だよ。今、ついたけどどこにいるの?」
「あ、デパート前のイルミネーション見てたの。」
「じゃあ、そこに行くから、待ってて。」

三分もしないうちに、彼の姿が目に入る。
手を振っているのが見えた。

「仕事、お疲れさま。」
「そっちこそ。」
「もう、今日の仕事は終わったの?」
「ああ。あとは週末に入るだけ。ところで、どこに行こうか?」
ううーん、迷うけれど、やっぱり見たいものは見たい!
「あのねえ、ネットで見たら、●●園でライトアップしてるんだって。それが見たいんだけどなあ。」
「●●園?メシは?」
「いや、メシよりそっちがいい。」
彼は、くくっと笑うと、口を開いた。
「あなた、本当に思いつきで動くよね。いいよ、確か、中で軽く食べられるハズだから、行こうか?」
「うん、まじ、嬉しい。だって、すごく綺麗ってネットに書いてあったんだってば!」
「へええー・・・。」
●●園は、駅から歩いて15分くらい。
雑談しながら、二人で向かう。

***

庭園は予想したより混んでいた。
「結構人がいるのね。」
「ホント、意外だ。」

並んで歩く。
つかず離れず、50cmくらいの幅・・・。
きょろきょろしながら歩くので、時々、腕や肩がぶつかるけど、でも大体は少しだけ離れた距離。

途中でライトアップされた木々の下に茶店があって、外にテーブルと椅子が設置されている。
おでんやら甘酒やらを食べて談笑している人が結構いた。
「そこで、何か食べようか?」
「うん、そうしよう。」
どこにでもあるような代わり映えしないメニュー。
適当に、おでんやらたこ焼きやらをテーブルに並べる。
「熱燗、みつけてきたよ。」
「温まるね~。」
どこにでもある醸造酒だろうけど、それでも嬉しい。
たわいもない会話をしながら、徳利を数本二人であける。

「そういえば、庭を見に来たんじゃないの?」
「うん、言われてみればそうだったね。」
セルフで片づけをして、もう一度、順路を歩き出す。

庭園中央に作られた池が見えてくる。

「うわ、すごい綺麗じゃない?」
「うん、初めて見たけど、結構いいね。」
池の中央に作られた島には松が植えられ、この時期特有の雪吊りが施されている。
それがライトアップされていて、まるでクリスマスツリーみたいだった。
二人でぼんやりと眺める。

「ねえ。」
「なに?」
「以前は、皆で旅行行ったりしたじゃない?」
「そうだね。もう随分行ってないね。」
「あたし、あのころに比べて変わったと思う?」
彼がこっちを振り向く。
「どうしたの?急に。」
「何となく、聞きたくなったの。」
うーん、と彼はしばらく考えて、再び私を見た。
「少し、変わったんじゃない?ホラ、こないだメールくれたときの内容みたらさ、『結構、貫禄でてきたじゃん』って思えたよ?」
「そお?そういってもらえると嬉しい。ちょっと、迷ってたからさ・・・。」
「俺は?」
「あなたは変わらないよ。」
「何、ソレ?俺は変わってないわけ?」
「だって、あなた、賢いところ、変わってないわよ。」
「そう?」
「うん、そう。」

もう一度、池を見る。
池から50mも歩けば、もう出口。
どうしよう・・・。

私が黙っていると、彼が言った。
「もう一杯、どこかで飲んでいく?」

「え?いいの?」
「せっかく会えたんだし、いいんじゃない?」

そのとき、私はきっとホッとした顔をしていたに違いない・・・。



-続く-
 やっぱり長くなってしまって、すみません・・・。
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